この動画は、2026年1月の日銀0.75%維持決定をめぐって、「なぜこの判断になったのか」を整理する解説です。 金利を上げたのに円安が止まらない理由は、単純な一言では説明できません。 見ると、日銀の考え方、市場の誤算、そして超過準備に金利をつける仕組みまで、一つの流れで理解できます。

なぜ0.75%維持だったのか――日銀が見ていた景色

この回でまず押さえたいのは、0.75%維持そのものより、その判断の背景です。 山﨑氏は、3年以上にわたり2%を超えるインフレが続いてきた以上、本来は利上げがもっと早くてもおかしくなかった、という見方を示します。

つまり今回の判断は、急に引き締め姿勢へ転じたというより、かなり遅れて正常化へ向かっている流れの中にあります。 正常化とは、極端に低い金利を続ける状態から少しずつ離れていくことです。

その意味で、0.75%維持は「何もしていない」判断ではありません。 すでに0.25%、0.5%、0.75%と段階を踏んできた中で、どこまで先を示すかが焦点になっていました。

読者が見落としやすいのは、政策金利の数字だけでなく、総裁が何を言ったかです。 市場は中立金利への踏み込みを期待していた。しかし、そこはかなり慎重でした。 だから今回の会合は、利上げの有無だけでなく、日銀がどこまで言葉で先を見せるのかが問われた回でもありました。

利上げしたのに円安が止まらない――市場の誤算はどこにあったか

では、なぜ利上げしたのに円安が止まらないのか。 山﨑氏は、利上げしたのに円安が止まらない3つの理由を整理しています。

1つ目は、バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクトです。 これは、うわさの段階で先に買い、本当に発表されたら材料出尽くしで売る、という相場の動きです。 今回も、12月1日の講演などを通じて、ある程度の方向感は事前に織り込まれていたと見られます。

2つ目は、中立金利への言及がなかったことです。 中立金利とは、景気を強く冷やしもせず、過熱もさせにくいと考えられる金利水準のことです。 市場は、そのレンジについて何らかの絞り込みが示される可能性を意識していましたが、触れられませんでした。

3つ目は、政権側への期待です。 高市政権のもとで、積極財政への期待が強まれば、国債増発や景気刺激が意識されやすくなります。 これが強く意識されると、将来のインフレや金利、国債発行の見通しが変わり、為替にも影響します。

つまり、円安が止まらなかったのは、「利上げが効かなかった」からではありません。 市場が見ていたものが、政策金利そのものだけではなかった、ということです。

超過準備490兆円と付利――「ゼロ金利の常態」から何が変わったのか

この動画でもう一段深い論点が、超過準備と付利の話です。 日銀の当座預金には、およそ500兆円規模のお金が積み上がっています。 そのうち、法定準備は10兆円程度で、残りの大部分は超過準備です。

超過準備とは、銀行が義務以上に日銀へ置いているお金のことです。 量的緩和で大量のお金を供給した結果、この残高が大きく膨らみました。

ここで重要なのが付利です。 超過準備490兆円には、付利が必要になる。 もし膨大な資金に金利をつけず放置すると、銀行どうしの短期金利が崩れやすくなり、政策金利を安定して保ちにくくなるからです。

さらに注目したいのが、12月25日の経団連講演での示唆です。 山﨑氏は、ゼロ金利が当たり前だった時代は戻りにくい、というメッセージが出ていたと読みます。 それが崩れつつあるなら、日本経済はデフレ前提の世界から少しずつ離れていることになります。

もちろん、今年前半に1%もあり得るが、既定路線ではない。 ただ、そうした可能性を市場が意識する局面には入りつつある、というのがこの動画の見どころです。

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本編では、日銀の考え方と、市場が何を期待し、どこで読み違えたのかが対話でほどかれていきます。金利と円相場の関係を、数字だけでなく筋道で理解したい方は、ぜひ動画でご覧ください。

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※ 本記事は、2026年1月23日時点の動画内容をもとに構成しています。
※ 日銀の政策判断、為替、金利見通しはその後変化する可能性があります。
※ 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の政策判断や投資判断を勧めるものではありません。