この動画は、Paidy(ペイディ)副社長・橋本知周さんが、メジャーを目指した日々から起業へと歩みを進めていく回です。 軸になるのは、遠い目標を今すぐ届く小さな目標に分解するという考え方です。 見ると、野球で培った習慣がそのままビジネスの武器になっていく過程が、無理なく腑に落ちます。

遠すぎる目標は、小さな一歩に分けて越える

マイナー組織には、全体で200人を超える選手がいたといいます。 チームが変わるたびに事情も変わり、そのつど自分の立ち位置を確認し直す必要がありました。

橋本さんが最も大切にしていたのは、「メジャーリーグに上がりたい」という明確な目標と、決めたことをやりきる意志でした。 ただ、メジャーという目標だけを掲げても、道のりは果てしなく、方法が見えません。

そこで橋本さんは、その手前に「今すぐ届く目標」を一つずつ置いていきました。 この試合でこう活躍する。その積み重ねが、次のステージへ自分を運んでくれる。そう信じて、目の前の課題を一つずつ潰していったのです。

この考え方は、いまの仕事にそのまま生きています。 Paidyに入った当時は、規模が今の100分の1ほどのスタートアップでした。

大きな成長を描きながらも、細かい目標を定め、分岐点ごとに「これはうまくいった」「これはダメだった」と検証していく。 ビジネスも野球も、すべてが思い通りにはいかない。だからこそ、このPDCAを回す習慣が効いてくると橋本さんは語ります。

野球の外へ——学びと、アスリートのセカンドキャリア

橋本さんは大学を辞めてアメリカに渡りましたが、父親の「野球だけじゃない」という言葉が残っていました。 そこで、チームの理解も得ながら、現地の大学に通い、幅広い分野を学び続けます。

これは日本のプロ野球ではあまり見られない光景です。 アメリカのマイナーでは、大学を出てから来る選手が多く、オフシーズンにアルバイトをするのも当たり前でした。

マイナーはシーズンが短く、選手たちは別の仕事をしながら次の季節に備える。 野球だけに専念する日本の環境とは、前提そのものが違っていたのです。

橋本さんは、野球をやってきたこと自体に大きな価値があると考えています。 何かをやり続ける人には信念があり、その信念はビジネスにも必ずつながる、と。

野球経験者が全員ビジネスで成功するわけではない。 けれど、信念を持って自分で考え抜ける人なら、分野を越えてきっと道を切り開ける。アスリートのセカンドキャリアを考えるうえで、示唆に富む視点です。

財布の中の一枚から、事業が生まれた

起業のきっかけは、大それたものではありませんでした。 大学の仲間が「こんなビジネスをやりたい」と語り合う環境の中で、自然と自分も考えるようになったといいます。

アメリカ生活を通じて、橋本さんは物事の見方が変わっていきました。 当たり前を少し斜めから見て、「これが変わればもっと良くなるのでは」と考える癖がついていったのです。

ある日、買い物の場面で気づきます。 日本から持ってきた自分の財布には、使わないポイントカードが大量に入っていた。一方、アメリカ人の財布はとてもシンプルでした。

「これが一つにまとまればいいのでは」。 携帯電話にカードを入れるという、今では当たり前の発想を、橋本さんは約20年前に思いついていました。

そして財布の中で最も多かったのが、病院の診察券でした。 そこから、QRコードで診察券をデジタル化し、さらに予約まで一体化するというアイデアへと発展していきます。

函館で始めた挑戦と、「早すぎた」という現実

需要は日本にある。橋本さんはそう判断しました。 アメリカ人の財布に診察券は入っていなかったからです。

市場のあたりをつける作業は、驚くほど地道でした。 当時はネットで簡単に調べられません。電話帳を使って市町村ごとの病院の数を手で数え、人口比と照らし合わせていったのです。

その結果、函館が人口に対して歯科医院が際立って多いことを発見します。 橋本さんは函館を選び、個人病院向けの簡易な診察券・予約システムを立ち上げました。

ただ、時代が早すぎました。 ガラケーが二つ折りになったばかりの頃で、診察券のQR読み取りは機能しても、いざ予約しようとすると通信が追いつかず、画面が開かない。

5Gのように、どこでもサクサク使える時代ではなかった。 世の中の回線速度が上がらない限り、大きく普及させるのは難しい。そう見極めた橋本さんは、事業を売却し、次のステップへと進む決断をします。

いま振り返れば、そのアイデアはことごとく現実になりました。 早すぎた挑戦は失敗ではなく、日常の違和感を事業に変える思考の原型です。野球時代を描いた回とあわせて見ると、一人の越境キャリアがどう地続きにつながっているかが、はっきりと見えてきます。

アイデアが生まれる瞬間を見る

日常の小さな違和感を、どうビジネスの種に変えていくのか。その思考の流れは、映像で聴くとより鮮明に伝わります。

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※本記事は、2026年6月30日公開時点の動画内容をもとに構成しています。
※事業の詳細・地名・当時の技術環境は、収録時点の本人の語りに基づく表現です。
※本記事は、特定の投資・起業・働き方を推奨するものではありません。